必ず跳べる「開脚跳び」の指導


 跳び箱の基本的なとびこし方としての「開脚とび」
ふつうに練習すればたいていの子は跳べるようになります。でも、必ずクラスに数人は最後まで跳べない子が残ってしまいます。
そして、「あの子は太っているから……」「運動神経が悪い子だから」と、そのままにさせてしまっていませんか。
 でも、高度な技はともかく、「開脚跳び」ぐらいはどんな子だって簡単に跳べる技です。
 私の学年の子は次の指導で1〜2時間のうち全員跳べるようになりました。


@まず「跳びおりる」練習から

 跳べない子の原因は「跳びこした後への不安」がほとんどです。
「身体が浮き上がって、その後ひっくり返るんじゃないか、身体を打つんじゃないか。」という恐怖心から手をつっぱってブレーキをかけてしまうのです。
 したがって、その恐怖心を取り除く練習から始めます。

 跳び箱に馬乗りになります。両手を高くあげ、跳び箱に着手し、手を突き放して降ります。
この時大切なことは、肩をうんと前に出し、目は着地点あたりを見つめて降りるようにすること。


A跳び箱の上から跳びおりる練習

こんどは、跳び箱の上に乗ってしまい、そこから手をついて、とびおりる練習です。

この練習が跳べるようになるためのキーポイントです。
 怖がる子は、手を浮かせたまま跳んでしまいます。
「手をまたの間につっこんで。」「頭、上げないで。」
などの指示や、着地点に目印の帽子などを置いて「あの帽子を最後まで見ているんだよ。」と助言してやります。
それでも怖い子の場合は、マットをソフトマットにして、転んでも痛くないよ、と安心感を持たせてやります。


B後ろの跳び箱から跳びこす練習

 つぎは、跳び箱を二つ連結して、後ろの跳び箱から手を伸ばして、着手、跳び越す練習です。

 Aができた子は簡単にこれもできるはずです。

楽々跳べるようになった子にこう言ってやります。
「もう開脚跳びの後半分は完成したね。
 後は、踏切で身体をとびばこの高さまで跳び上がればいいだけなんだよ。」
 子どもたちは、なるほどと思い、「ぼくも、跳べるかもしれない」という期待で一層練習に意欲を出してきます。


C後ろの跳び箱を一段下げて跳びこす練習

 こんどは、後ろの跳び箱を一段下げて跳び越させます。
「さっきより、一段分だけ高く跳び上がれば、後は一緒だよ。」
と助言してやればこれもすぐ跳べるようになります。

この練習で大事なことは、踏切を入れることです。
後ろの跳び箱のはしに立ち、ポンと両足踏切の動作を入れてとびこさせます。
 「つま先で軽くポン、だよ。」
と意識させます。かかとまでべったりついた踏切では跳躍のバネになりませんから。
慣れてきたら、もう一段抜いて、「さっきより、もうちょっと踏切を強くしたらあとは同じだよ。」
と言ってやります。このころには、もう子どもたちは夢中になってやっています。


D後ろの跳び箱を一段だけにし、助走を入れて跳びこす練習


後ろの跳び箱は、頭だけの一段にし、踏切板も入れます。

そして2〜3歩助走を入れて跳び越させます。
このときは、
踏切板を「片足の第1踏切」
後ろの跳び箱を「両足の第2踏切」
ということにすると、助走から踏切までの流れが子どもたちにもわかりやすく意識できます。


E開脚跳びの完成

最後は本来の踏切板と跳び箱の形にして挑戦させます。

「見てごらん。踏切板と跳び箱一段の高さの違いはほんの10pぐらい。今までと同じようにやればきっと跳べるはずだよ。」
と言ってやります。

でも、中には、踏切板だけになったとたん不安になってブレーキをかけてしまう子が出てきます。そういうときは必要に応じてB〜Dにフィードバックしてやりましょう。