「子どもが育つとき─運動会でのできごと─」

@運動会当日の本番でこんなできごとがありました。56年の組体操のラストで 5段の塔を組み上げる場面で、強風のせいもあり、あと少しのところでちょう  どニューヨークの貿易センタービルのように崩れ落ちてしまいました。
 しかし、その後、塔の回りに集まった子どもたちから自然と「がんばれ!」とい うかけ声がわき起こり、もう一度塔を組み上げ始めたのです。
 そして、二度目、見事に塔は立ちました。思わず会場全体が大きな拍手に包 まれました。ナレーターの教師も「よくがんばりました!」 
 と興奮して叫んでいました。半月間練習を重ねてきたという背景のもとに生ま れた、練習のシナリオにはない、一つのドラマでした。
 
 A運動会の数日後、O先生がにこにこして6年の子どもの日記を見せてくれま  した。
  五年生の頃から友達関係で悩んでいた子が、この運動会でなかまのすば  らしさを実感したこと、閉会式の時、涙が出そうになったとなどをノートにびっ しり書いてありました。
 また、応援団の練習を重ね、仲間同士の連帯感が高まる中で、五年のとき、 いやがらせの匿名の手紙を書いていた子が相手の子に正直に謝罪し、すっ きりした関係が生まれたということも話してくれました。

 一つのことをみんなで追求する中で真の連帯が生まれるのだということ、そう いう場として行事も重要な教育の場なのだということを改めて実感するできご とでした。