紙版画の指導A


  

私の学級の3人の女の子には紙版画に取り組ませた。一人ひとりの発達段階はかなりちがうので、私の援助の仕方も一人ひとり違う。

 五年生のN子は自力でテーマを決め、制作する力がある。「私は、うさぎをだっこしているのをする。」と最初から取り組みの方向が決まっていた。3年生のY子と4年生のM子はそこまでの力はない。

 まず、4つ切り1/6の紙(キャンパス紙)をわたして、頭を切り抜かせた。M子は丸く切ることもできないのでいっしょに切った。そして、切り残りの紙を切り刻んで遊び、それを髪の毛に見立ててはりつけていった。

 そして次の時間は胴。そのまた次の時間は腕、というように、少しずつ、1単位時間は集中力が切れない程度に短く、継続的に取り組んでいった。腕や足は、できるだけ切りくずを利用した。その方が自然な動きのあるものになるからである。

 胴から上の体の部分が出来たところで、それを自由に組み合わせて遊んだ。人形遊びのようで、この活動はM子もキャッキャッと笑いながら取り組んで、「踊ってる人にしよう!」と決めていった。運動会で「WAになって踊ろう」のダンスをやったことが心に残っていることもあったようだ。首や手の位置をいろいろ変えてみて、一番気に入ったところで糊付けした。

 そのあと、スカートをつけ、服の模様を不織布の端切れを貼り付けていった。こういう作業も指先のトレーニングとしての意味がある。

 できあがった版は少し大きすぎたように思ったが、刷ってみると、むしろこれぐらい大きい方が生き生きした感じがよく出るように思った。

 一人ずつの版もいいが、せっかくだから、三人のを組み合わせて刷ってやった。すると、またこれもたのしい雰囲気の作品になった。紙版は、こうした共同制作に発展させられる良さも持っている。